心のまんなかに戻る、居場所を。 My Story

お気に入りがひとつあるだけで

2020年、コロナ禍。
外に出られない日々の中で、少しずつ、
自分でも気づかないうちに背負っていた「役割」をおろしていきました。

お気に入りの鍋を火にかけ、弱火で静かに煮えていく具材を眺めていると、
少しだけ心がほどけていく気がしました。

棚には、かつて上司から贈られたぽってりとした白いマグカップ。

そのときは気づけなかったけれど、「ひとりの時間を大切にね」という
あたたかな想いが込められていたのだと、今ならわかります。

お気に入りのものがひとつあるだけで、部屋の空気がやさしくなり、心が呼吸をはじめる。

そんな空間の不思議な力を感じていました。

2020年8月、友人から新居のコーディネートを依頼されました。

在宅勤務が続くなか、疲れた表情で
「家にいても落ち着かない」と話していた彼女。

私は、朝日が差し込む部屋で深呼吸できるような空間を思い描き、
植物や家具を配置しました。

しばらくして届いたメッセージには、
「朝、自然に目が覚めて、日光を浴びながら朝食を食べています」と書かれていました。

喜ぶ彼女の報告を聞きながら、「空間を通して人を癒す仕事をしたい」と思いました。

心と空間の両輪で、生き方を整える

当時の私は、転勤と子育て、そしてコロナ禍の真っただ中。

就職活動もうまくいかず、行き場のない焦りと不安でいっぱいでした。

それでも前を向きたくて、気がつけば開業届を出していたのです。

最初に選んだのは「ホームステージング」という仕事。

住まいや店舗を、暮らす人・訪れる人の心に寄り添って整える仕事です。

家具や小物を配置して「見た目を整える」だけでなく、
その空間にある想いや温度をデザインすること。

けれど、どんなに美しい部屋でも、心が置き去りになっていたら意味がない。

そう感じてから、私は心の学びに時間をかけました。

そしてようやく、自分の内側と向き合い、
自分を受け入れられるようになったとき、
「空間には、人を癒す力がある」と確信したのです。

それは、あの鍋やマグカップが私を救ってくれた体験、
友人の晴れやかな表情の延長線上にありました。

いま、届けたいこと

あれから5年。
活動の形は変わっても、根っこにある想いは同じです。

変化の波にのまれるのではなく、その波を軽やかに乗りこなす人を増やしたい。

家があって、家族がいても、「自分の居場所がない」と感じてしまう人の支えになりたい。

家の中に意識を向けることは、自分の心に手をあてること。

空間を整えることは、自分を大切にすること。

お気に入りがひとつあるだけで、今日が少しやさしくなる。

深く息ができる、自分にとっての居場所を一緒につくっていけたら嬉しいです。

Profile プロフィール

加藤かおり

加藤 かおりKato Kaori

Lifeto Creator/ホームステージャー

1986年 静岡県生まれ。
インテリアショップでの販売・VMD・バイヤー業務を経て、
注文住宅工務店で営業兼コーディネーターとして家づくりに携わる。

16年間で延べ1,800件以上のライフスタイル提案、
年間200件を超える空間スタイリングに従事。

目に見える「整った部屋」よりも、そこに暮らす人の
「心が整う空間」をつくりたいという想いから、2020年に独立。
ホームステージングを中心に活動を始める。

引っ越しや転勤、子育てなどの環境の変化のなかで、
「自分の居場所を見失う女性」を多く見てきた経験から、
心と空間を整える「ライフト・メソッド」というスタイルを確立。

現在は、個人向けに「Kurashi Palette」を提供するほか、
企業・行政向けのホームステージングや講座・研修も行う。
暮らす人のまんなかに、灯りをともすような居場所づくりを大切にしている。

【資格・活動】

日本ホームステージング協会 認定講師
(片づけ講師/インテリア講師)

国際コアエッセンスヒーリング協会 認定カウンセラー
整理収納教育士・ライフオーガナイザー2級
(整理収納分野)

インテリアセンストレーナー